寒蝉仗馬
読み方:かんせん じょうば
意味
権力者や周囲を恐れ、自分の意見や批判をまったく口にしないこと。また、そのように沈黙する人々をいう。寒さで鳴かないセミと、宮廷の儀仗用として立ち並び、鳴けば退けられる馬になぞらえた表現である。特に、言うべきことがあっても諫言・発言をしない態度を非難して用いる。
由来
「寒蝉」は寒さのため鳴かないセミ、「仗馬」は宮廷の儀仗として並べられる馬を指す。唐・玄宗の時代、8世紀前半に宰相李林甫が諫官に対し、「立仗馬は一声鳴けば追放される」とたとえて発言を戒め、諫言が途絶えたという故事が『旧唐書』李林甫伝に記される。この故事を背景に、恐れて一言も発しないことのたとえとなった。
備考
日常会話よりも文章語・硬い表現で、沈黙や事なかれ主義を批判的にいう場合が多い。「物静かで口数が少ない」という中立的な意味ではない。
別表記
- 寒蟬仗馬
誤用・混同注意
- 「仗馬」を「杖馬」と書くのは誤り。正しくは、儀仗を表す「仗馬」。
- 「寒蝉」を「かんぜん」と読まない。正しくは「かんせん」。
- 単に無口な人を褒める語ではなく、恐れて必要な発言をしないことを批判する語である。
例文
- 会議では上司の顔色をうかがい、誰もが寒蝉仗馬となって問題点を指摘しなかった。
- 不正を知りながら寒蝉仗馬でいるなら、組織の改善は望めない。
- 彼は権力者を前にしても寒蝉仗馬にならず、率直に意見を述べた。