噤若寒蝉
読み方:きんじゃく かんせん
意味
恐怖や圧力のために、まるで寒さで鳴かなくなった蝉のように、口を固く閉ざして何も言わないこと。特に、権力者や強い相手を恐れて発言を控える様子をいう。
由来
中国・後漢後期(2世紀)の故事に基づく。『後漢書』杜密伝には、党錮の禁によって杜密が弾圧された後、旧友たちが門を閉ざし、「噤若寒蝉」のように沈黙したという趣旨の記述がある。寒さで蝉が鳴かなくなることにたとえ、恐れて口を閉ざす意味となった。『後漢書』自体の編纂は5世紀。
備考
日常会話ではあまり用いない文語的・硬い表現。単なる無口さではなく、恐れや威圧によって発言できない状況を表すことが多い。
別表記
- 噤若寒蟬
誤用・混同注意
- 「禁若寒蝉」と書くのは誤り。口を閉ざす意の「噤」を用いる。
- 「きんじゃくかんぜん」と読むのは誤り。標準的な読みは「きんじゃくかんせん」。
例文
- 厳しい検閲を恐れ、記者たちは噤若寒蝉として政府への批判を控えた。
- 不正の経緯を問われた役員たちは、会見の場で噤若寒蝉となり、一言も説明しなかった。
- 会議に社長が入ってくると、さっきまで議論していた社員たちは噤若寒蝉のごとく黙り込んだ。