悪衣菲食
読み方:あくい ひしょく
意味
粗末な衣服を着て、質素な食事をとること。また、そのようにぜいたくを避けた、清貧で質素な暮らしぶりをいう。「悪衣」は粗末な衣服、「菲食」は乏しく粗末な食事の意。
由来
『論語』泰伯篇で、孔子が夏王朝の始祖とされる禹の質素さをたたえ、「菲飲食而致孝乎鬼神、悪衣服而致美乎黻冕」と述べたことに基づく。ここにある「悪衣服」と「菲飲食」を縮め、組み合わせた語である。『論語』は孔子(前551年頃~前479年)の言行を、戦国時代ごろ(前5~前3世紀ごろ)に編纂した書とされる。
備考
「悪」は善悪の「悪」ではなく、粗末・質がよくないという意味。「菲」は薄い、乏しい意である。清貧を肯定的に表す語だが、他人の困窮を安易に美化する文脈では注意が必要。
別表記
- 惡衣菲食
誤用・混同注意
- 「悪衣非食」と書くのは誤り。「菲」は粗末・乏しいことを表す字である。
- 「悪衣悪食」は誤記ではなく、別に成立する四字熟語である。ただし意味が近いため混同されやすい。
例文
- 祖父は財産があっても悪衣菲食を旨とし、ぜいたくな暮らしを好まなかった。
- 彼女は悪衣菲食の生活を続けながら、得た収入の多くを研究費に充てた。
- 禹の悪衣菲食の姿勢は、為政者が私利私欲を慎む象徴として語られる。