五欲六塵
読み方:ごよく ろくじん
意味
仏教でいう、心を迷わせ執着を生む欲望と、その対象となる外界の事物・現象をいう。五欲は一般に色・声・香・味・触に関する欲、六塵は色・声・香・味・触・法という六つの認識対象を指す。転じて、世俗的な欲望や、それを引き起こすさまざまな誘惑の意味でも用いる。
由来
古代インド仏教の教説に基づく語である。「五欲」は五感に関わる欲望、「六塵」は六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)がとらえる六つの対象を表す。仏典の漢訳が盛んになった後漢(2~3世紀)以降、中国仏教で漢語として定着し、日本には仏教伝来後の飛鳥時代(6世紀後半)以降に伝わった。特定の一書だけを典拠とする故事成語ではなく、仏教教義に広く見られる複合語である。
備考
主に仏教・宗教的な文脈で用いる硬い語で、日常会話ではあまり使わない。「塵」は物理的なほこりではなく、心を汚し迷わせる対象という比喩である。五欲の内訳には経典・宗派により説明の違いがある。
誤用・混同注意
- 「六塵」を「六根」と書くのは誤り。六根は眼・耳・鼻・舌・身・意という認識器官、六塵はそれらが認識する対象を指す。
例文
- 修行者は、五欲六塵に心を奪われず、自己を見つめることを大切にした。
- 寺の住職は、五欲六塵への執着を離れることが、心の安らぎにつながると説いた。
- 情報や広告に囲まれた現代社会は、五欲六塵を刺激するものに満ちているともいえる。
分類
類義語
- 煩悩
- 俗欲
- 欲望