上徳不徳
読み方:じょうとく ふとく
意味
最も高い徳を備えた人は、自分に徳があることをことさらに意識したり、徳を誇示したりしないため、かえって真の徳を備えているということ。「上徳」は最高の徳、「不徳」は自らを徳ある者として振る舞わない意である。
由来
中国の思想書『老子(道徳経)』第38章にある「上徳不徳、是以有徳(上徳は徳とせず、ここをもって徳あり)」に基づく。『老子』の成立時期は諸説あるが、戦国時代の紀元前4〜3世紀ごろとされる。最高の徳を持つ者は徳を意識して作為的に行動しないので、真に徳があると説いた言葉である。
備考
「不徳」は、ここでは一般的な「徳がない」という意味ではなく、「徳を徳として意識・誇示しない」意である。日常会話より、人物評や倫理・思想を論じる文章で用いられる。
誤用・混同注意
- 「不徳」を単に「徳がないこと」と解釈すると、本来の『老子』の思想上の意味を取り違える。
- 「上徳有徳」とするのは誤り。正しくは「上徳不徳」。
例文
- あの人は寄付をしても決して人に話さない。まさに上徳不徳の人だ。
- 部長は部下の手柄を自分のものにせず、陰で支える。上徳不徳というべき姿勢である。
- 善行を誇示するよりも、上徳不徳の心で自然に人を助けることが大切だ。
分類
類義語
対義語
- 下徳不失徳