天地は不仁にして、万物を以て芻狗と為す
読み方:てんち は ふじん にして、ばんぶつ を もって すうく と なす
意味
天地(自然)は人間のような情けやえこひいきを持たず、あらゆる物を等しく扱う、という意味。ここでいう「不仁」は残酷であるというより、特定のものに慈愛を示したり区別したりしない無私・無差別のあり方をいう。「芻狗」は祭礼で用いたわらの犬で、用が済めば捨てられたものを指す。
由来
中国の思想家・老子の書とされる『道徳経』第5章にある句「天地不仁、以萬物為芻狗」に由来する。『道徳経』の成立時期は確定していないが、一般に戦国時代、紀元前4〜3世紀頃までには成立したと考えられている。「芻狗」は古代中国の祭祀で供えたわら製の犬で、祭儀の前は大切にされ、終われば不要となった。
備考
「不仁」は単純に「冷酷」の意味ではなく、私情やえこひいきのない自然の無差別性を表す。日常会話のことわざというより、老荘思想を論じる際に引用される漢文調の名句である。
例文
- 自然災害は善人にも悪人にも及ぶ。老子のいう「天地は不仁にして、万物を以て芻狗と為す」という見方を思わせる。
- 彼はこの句を引用し、自然を人間の都合で善悪に分けて考えるべきではないと述べた。
- 豊作も凶作も人の願いとは無関係に訪れる。天地は不仁にして、万物を以て芻狗と為す、というのである。
分類
類義語
- 天地不仁
- 天地は万物を芻狗と為す
- 天道無親
対義語
- 仁愛
- 博愛
- 一視同仁