世は無常
読み方:よは むじょう
意味
この世のあらゆるものは、常に同じ状態であり続けることはなく、移り変わっていくという意味。人の命、富や地位、繁栄、喜びや悲しみなども永続しないことを表す。変化や別れを嘆く文脈のほか、執着を離れて現実を受け止めるという仏教的な考え方としても用いられる。
由来
「無常」は、古代インドの仏教思想に由来する語で、サンスクリット語の「アニティヤ(常ではない・永続しない)」を漢訳したものとされる。中国を経て日本には仏教伝来期の6世紀ごろ以降に広まった。「世は無常」という簡潔な言い方そのものの特定の初出文献は明確ではないが、『平家物語』の「諸行無常の響きあり」に代表される無常観と深く結び付く表現である。
備考
「無常」は「無情(思いやりがないこと)」とは別語である。単なる悲観や虚無を表すだけでなく、すべては変化するという仏教の基本的な認識をいう。文章語・やや硬い表現。
別表記
- 世の中は無常
- 世は常ならず
補足
- 「無常」を「無情」と混同し、『世の中には思いやりがない』という意味に解するのは誤り。無常は、物事が永続せず変化することをいう。
- 単に『人生はつらい』『世の中は冷たい』という悲観だけを表す語とするのは不十分である。仏教では、変化を認識して執着を離れるという含意もある。
例文
- 長く続いた店が閉店すると聞き、世は無常だと感じた。
- 栄えていた会社も時代の変化で衰退する。まさに世は無常である。
- 祖父は、世は無常だからこそ、今ある縁を大切にしなさいと私に教えた。