至人無己
読み方:しじん むこ
意味
人格・徳行が最高の境地に達した「至人」は、自己への執着や私心をもたない、という意味。名誉・利益・自我にとらわれず、自然にかなったあり方をする理想的人物をいう。単に自分の意見や個性がないという意味ではない。
由来
中国・戦国時代(紀元前4~3世紀ごろ)に成立したとされる『荘子』内篇「逍遥遊」にある「至人無己、神人無功、聖人無名」に基づく。ここでの「己」は自我・私心への執着を指し、至人はそれを離れた最高の理想的人物として説かれている。
備考
日常会話よりも、思想・倫理・宗教的な文脈で用いられる硬い表現。「無己」は「無我」と近いが、原典の成句としては「至人無己」とする。
誤用・混同注意
- 「至人無我」としない。『荘子』に基づく成句は「至人無己」。
- 「しじんむが」と読まない。標準的な読みは「しじんむこ」。
例文
- 名誉や利益を求めず人々のために働く彼の姿には、至人無己の理想が感じられる。
- 至人無己とは、自己を消し去ることではなく、私欲に支配されない境地をいう。
- 指導者には、自分の功績を誇るよりも、至人無己の精神で公共に尽くす姿勢が望まれる。
分類
類義語
- 無我
- 無私無欲
- 虚心坦懐