秦失其鹿
読み方:しん その しかを うしなう
意味
秦王朝が帝位・天下を失い、諸侯や英雄がその支配権を争うこと。転じて、絶対的だった権力や地位が失われ、多くの者がその後継や主導権を競い合う状況をいう。「鹿」は、狩猟で争って獲得する獲物になぞらえた天下・帝位を指す。
由来
中国前漢の司馬遷が紀元前1世紀(おおむね前91年ごろ)に編んだ『史記』淮陰侯列伝に見える故事による。策士の蒯通が韓信に対し、「秦がその鹿(天下・帝位)を失ったため、天下の人々が共にこれを追っている。才能と行動力のある者が先に得る」と説いた言葉に基づく。秦の滅亡後、多くの勢力が天下を争った情勢を表す。
備考
主に歴史・政治や文章語で用いる格調高い表現で、日常会話ではまれ。「鹿」は実際の鹿ではなく、争奪の対象となる天下・帝位の比喩である。『秦失其鹿、天下共逐之』の形でも引かれる。
誤用・混同注意
- 「鹿」を文字どおりの動物の鹿を失う意味と解するのは誤りで、ここでは天下・帝位を指す比喩である。
例文
- 王朝の崩壊後は秦失其鹿の様相を呈し、各地の有力者が覇権を争った。
- 与党の求心力が急速に低下したことで、政界は秦失其鹿さながらの混戦になった。
- 市場の首位企業が撤退すると、秦失其鹿のごとく競合各社がその顧客基盤の獲得に乗り出した。
分類
類義語
対義語
- 天下泰平
- 一統天下