破甑不顧
読み方:はせい ふこ
意味
一度壊れたり失われたりして取り返しのつかないものを、いつまでも振り返って執着しないこと。過去の失敗や損失を悔やみ続けても益はないとして、気持ちを切り替えて先へ進む態度をいう。
由来
中国後漢の人物・孟敏にまつわる故事に基づく。『後漢書』郭太伝によれば、孟敏が甑(こしき。蒸し器)を背負って歩いている際、地面に落として割ってしまったが、振り返らずに去った。理由を問われると「甑はすでに割れた。見ても何の益があるか」と答えたという。故事の時代は後漢(1〜2世紀ごろ)で、『後漢書』は5世紀に范曄が編纂した。
備考
主に、取り返しのつかない過去への執着を断つ前向きな態度を表す。単に失敗を反省しないことや、物を粗末に扱うことを肯定する語ではない。「甑」は通常「こしき」だが、この語では音読みで「せい」と読む。
誤用・混同注意
- 「甑」を訓読みして「はこしきふこ」などと読むのは誤りで、標準的な読みは「はせいふこ」。
- 「壊した物を気にしない無責任な態度」という意味に限定するのは不正確で、取り返しのつかない過去に執着しない意を表す。
例文
- 過去の失敗をいつまでも悔やまず、破甑不顧の心構えで次の挑戦に進んだ。
- 事業の失敗は痛手だったが、代表は破甑不顧とばかりに新しい計画を立ち上げた。
- 失った時間は戻らないのだから、破甑不顧の精神で今できることに集中しよう。
分類
類義語
対義語
- 未練千々
- 過去への執着