猿鶴虫沙
読み方:えんかく ちゅうさ
意味
戦争や争乱によって命を落とした多くの人々、特に兵士をいう語。古い伝説では、戦死者のうち君子は猿や鶴に、小人は虫や砂に変化したとされる。転じて、戦争が生む痛ましい犠牲や戦没者を表す。
由来
中国・東晋の葛洪が4世紀前半ごろに著した『抱朴子』の「釈滞」に見える「周穆王南征、一軍尽化、君子為猿為鶴、小人為虫為沙」に基づく。周の穆王の南征で軍勢がことごとく変化し、君子は猿・鶴に、小人は虫・沙になったという伝説から、戦争による死者をいうようになった。
備考
日常会話ではあまり用いられない漢文調・文語的な語。単に動物や砂を列挙した語ではなく、戦争・争乱による死者や犠牲を哀惜していう。通常、「えんかくちゅうさ」と読む。
別表記
- 猿鶴蟲沙
誤用・混同注意
- 「猿鶴虫砂」と書くのは誤り。正しくは「猿鶴虫沙」。
- 動物や自然物の情景を表す語と誤解されることがあるが、戦争による死者・犠牲者をいう語である。
例文
- 戦場跡に立つと、かつてそこに生じた猿鶴虫沙の無念に思いを致さずにはいられない。
- この小説は、華々しい勝利の陰にある猿鶴虫沙を忘れてはならないと訴えている。
- 戦争を語る際には、戦略や戦果だけでなく、猿鶴虫沙となった人々の人生にも目を向けるべきだ。