牛渚燃犀
読み方:ぎゅうしょ ねんさい
意味
鋭い知恵や洞察力によって、普通には見えない物事の本質や隠れた事情まで見抜くことのたとえ。暗闇を照らして怪異の正体を見た故事に基づき、すぐれた識見・観察眼をいう。
由来
中国・東晋の温嶠(おんきょう、288~329)が牛渚(現在の安徽省付近の長江の渡し場)を通った際、水中に怪物がいるという言い伝えを聞き、犀の角を燃やして水中を照らしたところ、異様な水族の姿が見えたという故事による。『晋書』温嶠伝に見え、故事は4世紀初頭のこととされる。
備考
日常会話ではまれで、文章語・漢文調の表現である。「牛渚の燃犀」として故事そのものを指すこともある。犀角を燃やす話は、古代中国の伝承上、犀角に闇や水中を照らす力があるとされたことに基づく。
誤用・混同注意
- 「燃犀」は「犀の角を燃やす」の意であり、「才」「祭」などと書き換えない。
- 単に勇敢に怪物へ立ち向かう意味ではなく、主に鋭い洞察力・見抜く力をいう。
例文
- 彼女はわずかな帳簿の不自然さから不正の仕組みを見抜く、まさに牛渚燃犀の洞察力を備えている。
- 古文書を読み解く研究者の牛渚燃犀の眼力によって、長年の謎だった事件の実像が明らかになった。
- 表面的な数字だけで判断せず、牛渚燃犀のごとく市場の変化の兆しを見極める必要がある。