牛山之悲
読み方:ぎゅうざん の ひ
意味
人がいつか死を迎え、愛する人や住み慣れた世の中とも別れなければならないことを悲しむ気持ち。とくに、繁栄や安楽な暮らしをいつか失って死なねばならない無常を嘆くことをいう。
由来
中国・春秋時代(紀元前6世紀ごろ)の斉の景公にまつわる故事に由来する。景公が牛山に登って都を眺め、自分もいつか死んでこの景色や国を去らねばならないことを嘆いたという。これを家臣の晏嬰(晏子)が諫めた話が、戦国時代から前漢期ごろに成立したとされる「晏子春秋」内篇諫上に見える。
備考
「之」は漢文の「の」に当たる。日常会話ではほとんど用いられず、文章語・教養語として使われる。単なる山の景色への悲しみではなく、死や別離に伴う人生の無常を嘆く語である。
誤用・混同注意
- 「牛山之木」と混同しない。「牛山之木」は『孟子』に由来し、伐採などによって山の木が失われることを述べる別の語である。
例文
- 栄華を極めた君主であっても、老いを意識して牛山之悲を抱くことがある。
- 故郷の町並みを見渡しながら、祖父は人の世の牛山之悲を静かに語った。
- 送別会の席で彼は、別れと死の避けがたさを牛山之悲という言葉で表した。