漆身呑炭
読み方
しっしん どんたん
意味
主君や恩人への忠義、または仇討ちという目的を果たすため、非常な苦痛や屈辱に耐え、身を犠牲にしてでも決意を貫くこと。特に、正体を隠して復讐の機会をうかがうほどの強い執念をいう。
由来
中国・戦国時代(紀元前5世紀ごろ)の晋の人、豫譲(よじょう)の故事に基づく。主君の智伯が趙襄子に滅ぼされた後、豫譲は仇を討つため、漆を全身に塗って皮膚病患者のように見せ、炭をのみ込んで声を変え、正体を隠したという。『史記』「刺客列伝」に見える。『史記』の成立は前漢・紀元前1世紀ごろ。
分類・構成
備考
故事では、豫譲が仇討ちのために容姿と声を変えた行為を指す。現代では、単なる苦労ではなく、忠義・復讐・目的達成のために身を犠牲にするほどの強い決意を強調する際に用いる。
誤用・混同注意
- 「漆身飲炭」とは通常表記しない。四字熟語として定着した表記は「漆身呑炭」。
- 単に「苦労を重ねること」の意味に限定しない。正体を隠してでも忠義や復讐を遂げようとする執念を含む。
例文
- 彼は恩師の名誉を回復するため、漆身呑炭の覚悟で長年にわたる調査を続けた。
- 会社を再建するという社長の姿勢には、漆身呑炭ともいえる執念が感じられる。
- 豫譲の漆身呑炭の故事は、主君への忠義と復讐への強い決意を象徴している。
類義語
対義語
- 忘恩負義
- 背恩忘義