水月鏡像
読み方:すいげつ きょうぞう
意味
水に映る月と鏡に映る姿のように、目には見えても手に取れる実体がないものをいう。仏教では、あらゆる物事は因縁によって一時的に現れているのであり、固定不変で独立した本質をもたない、という「空」の思想を示す比喩である。転じて、はかなく実体のない現象や事物を指す。
由来
仏教経典で古くから用いられてきた「水中の月」と「鏡中の像」という比喩に基づく語である。両者は見えてはいてもつかみ取れず、独立した実体をもたないことから、諸法の空性を説明するために使われた。四字熟語としての最初の用例・成立時期を一つの典籍に特定することは難しいが、中国訳仏典が広まった後漢から唐代(おおむね2~9世紀)以後に定着し、日本へは仏教とともに伝来したと考えられる。
備考
日常会話より、仏教・哲学・文芸批評などで使われる硬い語である。「鏡花水月」や「水月鏡花」とは似たイメージをもつが、別の四字熟語として扱われる。
誤用・混同注意
- 「すいげつきょうしょう」と読むのは誤りで、標準的な読みは「すいげつきょうぞう」。
- 「鏡花水月」や「水月鏡花」と混同しない。これらは類似する表現だが別語である。
- 「実体がない」は、まったく見えない・存在しないという意味ではなく、固定的で独立した実体をもたないという仏教的な意味である。
例文
- 禅僧は、名誉や財産への執着を水月鏡像と見よと弟子たちに説いた。
- 一時の流行に基づく評価は水月鏡像にすぎず、長期的な価値を保証するものではない。
- その小説は、記憶の中で姿を変える過去を水月鏡像として描き出している。
分類
類義語
対義語
- 実在
- 真実