悪紫奪朱
読み方
あくし しゅを うばう
意味
本来は正統な色とされた朱色を、正色ではないとされた紫色が押しのけるという意味から、正しいもの・本物・正統なものが、好ましくないものや偽物によって圧迫され、世に行われることをいう。
由来
中国古典『論語』陽貨篇の孔子の言葉「悪む、紫の朱を奪うを(悪紫之奪朱也)」に基づく。春秋時代末期から戦国時代初期にかけて成立したとされる『論語』(紀元前5~3世紀頃の編纂)では、朱を正色、紫をその正統性を乱す色として捉え、正しいものが損なわれることへの批判を表した。
分類・構成
備考
「悪」は単に道徳的に悪いというより、「正統でない・好ましくない」ものを指す。日常会話より、評論・文章語で用いられることが多い。
誤用・混同注意
- 「悪紫奪珠」は誤り。正しくは、赤色を表す「朱」を用いて「悪紫奪朱」と書く。
- 単に「紫色が嫌い」という意味ではない。正しいものが不正なものに押しのけられるたとえである。
例文
- 根拠のない情報が拡散し、専門家の見解が埋もれる状況は、まさに悪紫奪朱である。
- 作品の価値よりも話題性だけが評価されるなら、悪紫奪朱といわざるを得ない。
- 上司は、誠実な提案が退けられ、迎合的な意見ばかりが採用される職場を悪紫奪朱だと嘆いた。
類義語
- 以偽乱真
- 魚目混珠
- 邪正混淆
- 本末転倒