得兎忘蹄
読み方:とくと ぼうてい
意味
目的を達成した後、その目的のために用いた手段や助けを忘れること。兎を捕らえた後には罠を忘れる、というたとえである。文脈によっては、手段に執着せず本質を重んじるという肯定的な意味にも、恩や功労を忘れるという批判的な意味にも用いる。
由来
中国・戦国時代の思想書『荘子』外物篇にある「蹄者所以在兔、得兔而忘蹄(蹄は兎を得るためにあり、兎を得れば蹄を忘る)」に基づく。『荘子』はおおむね紀元前4~3世紀ごろに成立したとされる。ここでの「蹄」は動物の足ではなく、兎を捕らえるためのわなを指す。
備考
「蹄」は通常「ひづめ」だが、この語では古い意味の「兎を捕らえるわな」。忘恩を戒める文脈で使われやすい一方、手段への執着を離れるという思想的・肯定的な用法もある。
別表記
- 得兔忘蹄
補足
- 「蹄」を動物の足(ひづめ)と解するのは不適切。この語では兎を捕らえるわなをいう。
- 「得兎忘筌」は、「得魚忘筌」と混同した誤った形。
例文
- 事業が軌道に乗ったからといって、創業時に支えてくれた人々を忘れるのは得兎忘蹄というものだ。
- 彼は得兎忘蹄の発想で、目標達成後は不要になった手続きや道具に執着しなかった。
- 便利な技術も目的を実現するための手段にすぎず、得兎忘蹄の姿勢で本来の目的を見失わないようにしたい。