天衣無縫
読み方:てんい むほう
意味
本来は、天人の衣服には縫い目がないこと。転じて、詩文・芸術・話し方・人柄などに、作為や不自然さ、欠点がまったくなく、自然で完全に見えることをいう。特に、技巧を凝らした跡を感じさせない、のびやかで自然な美しさを表す。
由来
中国・唐代(9世紀ごろ)に牛僧孺が編んだとされる志怪小説集『霊怪録』の「郭翰」の故事に由来する。郭翰が天女の衣に縫い目がないことを不思議に思って尋ねると、天女が「天衣はもともと針や糸で作るものではない」と答えたという。この「天衣に縫い目なし」から、作為の跡がなく自然で完全なことを指すようになった。『霊怪録』は散逸しており、話は『太平広記』などにも伝わる。
備考
「欠点がまったくない」という意味だけでなく、技巧や作為を感じさせない自然な美しさをいう語である。人柄には、飾り気がなく無邪気な様子を褒める表現としても使う。
補足
- 単に「完璧で失敗がない」という意味に限定すると、本来の「作為のない自然な美しさ」という語感が薄れる。
- 「天衣無法」などと書かない。正しくは「天衣無縫」。
例文
- 彼女の演技は技巧をひけらかさず、天衣無縫の魅力がある。
- この詩は言葉を飾り立てていないのに、天衣無縫な美しさを感じさせる。
- 子どもの天衣無縫な笑顔に、会場の緊張が和らいだ。
分類
類義語
対義語
- 矯揉造作
- 刻意彫琢
- 斧鑿痕跡