大音希声
読み方:たいおん きせい
意味
最も優れた音楽・音は、むやみに大きく響くものではなく、かえって静かで聞き取りにくいほど深遠であるという意味。転じて、真に偉大なものや優れた人物は、派手に自己を誇示せず、目立たないところに本質的な価値があることをいう。
由来
中国の古典「老子」第四十一章にある「大音希声(大いなる音は声希なり)」に基づく。老子は戦国時代(紀元前4~3世紀ごろ)に成立したとされる思想書で、この句は「大方無隅」「大器晩成」「大象無形」と並んで示される。ここでの「希」は「まれ・少ない」の意で、最高の音は耳に強く訴える派手な音ではない、という逆説を表す。
備考
日常会話で頻出する語ではなく、老荘思想や芸術論、人物評などで用いられる。単に「音が小さい」という意味ではなく、真の偉大さは目立たず深遠であるという逆説的な比喩である。
別表記
- 大音希聲
補足
- 単に「小さな音」「聞こえない音」という字面どおりの意味に限定するのは不正確で、真の偉大さが派手に現れないという比喩的意味を含む。
- 「希」を「希望」の意味と解するのは誤りで、ここでは「まれ・少ない」の意味である。
例文
- 老子のいう大音希声とは、真に優れたものほど派手に自己を主張しないという思想である。
- 彼の演奏は華美な技巧を見せびらかさないが、深い余韻を残す点で大音希声の趣がある。
- 広告ばかりが目立つ商品よりも、長く使うほど良さが分かる品に大音希声の価値を感じる。