君子不器
読み方
くんし ふき
意味
徳と学識を備えた君子は、特定の用途にしか使えない器物のように、一つの役割や技術だけに限定されるものではない、という意味。広い見識と多面的な能力をもち、状況に応じて適切に働ける人物をいう。
由来
中国の古典『論語』の「為政」篇にある孔子の言葉「子曰、君子不器(子曰く、君子は器ならず)」に基づく。孔子(紀元前551年頃~紀元前479年頃)の思想を伝える章句で、「器」は用途が限定された器物を指す。君子は一つの専門的な役目だけに固定されず、人格・見識ともに広く備えるべきだという教えである。
分類・構成
備考
「不器」は現代語の「不器用」とは意味が異なる。「器」は道具・器物のように用途が限定されたものの比喩である。専門性を否定する言葉ではなく、人間の徳や見識が一つの機能に閉じないことを説く。
誤用・混同注意
- 「君子不器」を「君子は不器用である」という意味に解するのは誤り。ここでの「不器」は「一つの用途に限られた器物ではない」の意。
- 「君子不気」「君子無器」などと書くのは誤り。正しくは「君子不器」。
例文
- 彼女は研究だけでなく後進の指導や組織運営にも力を発揮しており、まさに君子不器の人材だ。
- 専門性を磨くことは重要だが、管理職には君子不器の姿勢、すなわち広い視野も求められる。
- 孔子のいう君子不器とは、単に何でもできる人ではなく、徳を土台として多様な役割を担える人のことである。
類義語
対義語
- 小器狭量
- 偏狭固陋