即事而真
読み方:そくじ にして しん
意味
個々の現象や具体的な事物(事)は、そのまま真実・真理(真)を表しているということ。現象世界を真理とは別のものとして退けるのではなく、ありのままの事物の中に真理を認める天台教学の考え方をいう。
由来
中国・隋代(6〜7世紀)の天台大師・智顗(ちぎ)の教学に基づく仏教語で、『摩訶止観』に見られる天台宗の思想を表す。「事に即して真なり」と訓読し、現象としての「事」を離れて別に真理を求めるのではなく、事そのものが真理にかなっていると説く。
備考
主に天台宗などの仏教思想を説明する際に用いる専門的な語。日常会話ではほとんど使わない。「即事」は「即座に物事をする」という意味ではない。
誤用・混同注意
- 「即事」を「即座に事を行うこと」の意味に解するのは誤り。ここでは「事物・現象に即すること」をいう。
- 「即時而真」と書くのは誤り。正しくは「即事而真」。
- 「そくじにしん」と読まず、通常は「そくじにしてしん」と読む。
例文
- 天台教学では、日常のあらゆる営みも真理と無関係ではないという即事而真の見方が重んじられる。
- 庭を掃くという平凡な行為にも仏道を見いだす考え方は、即事而真の思想に通じる。
- 彼は即事而真の立場から、現実の世界を嫌って逃れるのではなく、現実の中で悟りを求めた。