十念往生
読み方:じゅうねん おうじょう
意味
臨終の際に阿弥陀仏を十回念じ、または「南無阿弥陀仏」と十遍唱えれば、阿弥陀仏の救いによって極楽浄土に往生できるという浄土教の教え。転じて、わずかな念仏でも救済されるという阿弥陀仏の慈悲をいう。
由来
浄土教の経典である『観無量寿経』の「下品下生」の説に基づく。悪業を重ねた者でも、臨終に善知識から念仏を勧められ、「南無阿弥陀仏」を十念すれば罪が滅し、浄土に往生できると説かれる。『観無量寿経』は伝統的には中国・劉宋期(5世紀、424~453年ごろ)の漢訳仏典とされる。なお、『無量寿経』第十八願の「乃至十念」とも関係が深い。
備考
仏教、とくに浄土教・浄土宗系で用いられる語で、日常会話ではほとんど使わない。「往生」を単に「困る」の意味で用いる俗語とは異なり、ここでは死後に浄土へ生まれ変わることを指す。教義上の解釈は宗派により異なる。
誤用・混同注意
- 「十年往生」と書くのは誤り。「十念」は十回念仏することをいう。
- 「往生」を俗語の「困る・参る」の意味と解するのは誤り。この語では「浄土に生まれ変わる」意である。
例文
- 浄土教では、阿弥陀仏の本願を信じる十念往生の教えが重視されてきた。
- 僧は臨終の人の枕元で念仏を唱え、十念往生を願った。
- 十念往生は、どのような人にも救いの道が開かれるという思想を示している。