三界唯識
読み方:さんがい ゆいしき
意味
欲界・色界・無色界からなる三界のあらゆる現象は、心識(認識するはたらき)が生み出し、映し出したものであるとする唯識思想の教え。世界や物事が、心から完全に独立した固定的実体として存在するのではないと説く。
由来
インド大乗仏教の瑜伽行派(ゆがぎょうは/唯識派)が、4~5世紀ごろに発展させた唯識思想に基づく語である。「三界はただ識のみ」という考えを表す。『解深密経』などで説かれた唯識の教理が、7世紀に玄奘らによって中国で体系化され、『成唯識論』を通じて広まった。日本には飛鳥~奈良時代に法相宗の教えとして伝来した。
備考
「三界」は欲界・色界・無色界をいう。「唯識」は単に「何でも心の思いどおりになる」という意味ではなく、認識と対象の成り立ちを分析する仏教哲学上の教説である。「三界唯心」とは近いが、用いる思想的文脈が異なる。
誤用・混同注意
- 「三界唯心」と混同されやすいが、同一の表記ではない。三界唯心は華厳思想などで用いられる近い表現である。
- 「唯識」を「自分の主観だけが実在する」という単純な独我論と理解するのは不正確である。
例文
- 唯識思想では、三界唯識と説き、私たちが外界と捉える現象も識のはたらきによって現れると考える。
- 講義では、三界唯識と三界唯心の共通点および相違点が解説された。
- 彼は三界唯識の教えを手がかりに、執着や苦しみがどのように心に生じるのかを考察した。
分類
類義語
対義語
- 外境実在論
- 心外有法