万法唯識
読み方:まんぽう ゆいしき
意味
あらゆる存在・現象(万法)は、心の認識作用である「識」を離れて独立には成り立たず、識によって現れたものにほかならないとする唯識仏教の教え。外界を単純に否定するというより、私たちが捉える世界は認識のはたらきと不可分であることを説く。
由来
インド大乗仏教の瑜伽行派(唯識派)が、4~5世紀ごろに発展させた唯識思想に基づく語である。世親の『唯識三十頌』などの思想を、7世紀に玄奘が漢訳・体系化した『成唯識論』に代表される。日本には奈良時代以降、法相宗などを通じて伝来した。
備考
仏教、とくに唯識宗・法相宗の重要な教理。ここでいう「識」は単なる日常的な意識ではなく、阿頼耶識などを含む深い認識の構造を指す。
別表記
- 萬法唯識
誤用・混同注意
- 「唯識」を「自分の心だけが実在する」という単純な独我論の意味に誤解しない。
- 「万法惟識」と書かれることがあるが、仏教用語としては通常「万法唯識」と表記する。
例文
- 唯識思想では、万法唯識と説き、あらゆる現象を識のはたらきとの関係で捉える。
- 彼は万法唯識の立場から、主体と客体の対立がどのように生じるかを論じた。
- 「万法唯識」を、世界が各人の気分だけで自由に変わるという意味に解するのは正確ではない。
分類
類義語
- 諸法唯識
- 一切唯識
- 唯識無境