万物一馬
読み方:ばんぶつ いちば
意味
世のあらゆる物は、本質的には差別や優劣のない一つのものである、という意味。個々の物の違いは人間の立場や価値判断によって生じる相対的なものにすぎない、という荘子の斉物思想を表す。
由来
中国・戦国時代(紀元前4〜3世紀ごろ)の思想書「荘子」内篇「斉物論」にある「天地一指也、万物一馬也(天地は一つの指、万物は一頭の馬である)」に基づく。「一馬」は文字どおり一頭の馬を指すのではなく、万物を分け隔てず同一視するたとえである。
備考
日常会話で用いることはまれな哲学的表現である。単に「すべて同じ」という意味ではなく、人間が設ける区別や価値判断の相対性を説く文脈で用いる。
誤用・混同注意
- 「万物一体」と混同しない。「万物一体」は万物が一つにつながるという意味合いの語で、「万物一馬」とは由来・ニュアンスが異なる。
例文
- 自然と人間を対立させず、万物一馬の思想から環境問題を考え直そうとする論者もいる。
- 彼の万物一馬という考え方は、物事を安易に優劣で分けない姿勢につながっている。
- 荘子の斉物論は、万物一馬という表現に端的に示されている。