万法唯心
読み方:ばんぽう ゆいしん
意味
仏教で、宇宙や人生におけるあらゆる事物・現象(万法)は、心の働きや認識を離れて成り立つものではなく、すべて心の現れであるとする考え。迷いも悟りも心に基づくことを説く語である。
由来
『華厳経』に説かれる「三界はただ一心の作るところ」といった思想を背景とする仏教語である。漢訳『華厳経』は東晋の仏陀跋陀羅によって418~420年ごろに訳出されたものが知られる。「万法唯心」という四字の定型表現がいつ成立したかは明確ではない。
備考
仏教、とりわけ華厳・禅などの文脈で用いられる。近代哲学における「唯心論」と重なる面はあるが、仏教の修行・悟りの教えとしての意味合いをもつ。
別表記
- 萬法唯心
誤用・混同注意
- 「唯心」を近代哲学上の「唯心論」と完全に同一視するのは不正確である。
- 「万法唯識」は関連する別の仏教用語・表現であり、同一の四字熟語ではない。
例文
- 講師は万法唯心の教えを引き、物事の受け止め方を省みるよう説いた。
- 禅の思想を学ぶ中で、万法唯心という言葉が示す心の重要性について考えた。
- 万法唯心を近代哲学の唯心論とまったく同じものとして理解するのは適切ではない。
分類
類義語
対義語
- 唯物論
- 物心二元論