藜羹を食らう者は大牢の滋味を知らず
読み方:あかざのあつものを くらうものは たいろうのじみを しらず
意味
あかざの羹(あつもの)のような粗末な食事しか知らない者には、太牢(牛・羊・豚を用いた最高級の供物・料理)の美味は理解できないという意。転じて、ある生活や物事を実際に経験していない人には、その価値・楽しみ・事情を本当には理解しにくいことのたとえ。
由来
中国前漢の思想書『淮南子』の「説山訓」にある「藜羹不糝者、不足与論太牢之滋味(藜の羹に米も入れられない者とは、太牢の美味を論じられない)」に基づく。『淮南子』は前漢の淮南王・劉安らにより、紀元前2世紀ごろ(紀元前139年ごろ)に編まれた。藜はあかざ、羹は汁物、太牢(大牢)は牛・羊・豚をそろえた最上級の供物・ごちそうをいう。
備考
日常会話よりも文章語・教訓的な表現として用いられる。相手を「貧しい」「経験がない」と決めつける響きがあり、直接人を評する際には侮蔑的になりやすい。
別表記
- 藜羹を食らう者は太牢の滋味を知らず
誤用・混同注意
- 「大牢」を「だいろう」と読むのは誤りで、「たいろう」と読む。
- 「藜」を「あざみ」などと読むのは誤りで、「あかざ」と読む。
- 単に「粗末な食事はまずい」という意味ではない。経験のない者には、ぜいたくな物事や異なる境遇の価値・事情が理解しにくいというたとえである。
例文
- 長年質素な食事で暮らしてきた祖父は、藜羹を食らう者は大牢の滋味を知らずというように、高級料理の値打ちは自分にはわからないと笑った。
- 未経験者の意見を、藜羹を食らう者は大牢の滋味を知らずだとして最初から退けるのは公平ではない。
- この小説は、藜羹を食らう者は大牢の滋味を知らずという社会的な隔たりを、登場人物たちの食事の対比によって描いている。
分類
類義語
- 井の中の蛙大海を知らず
- 夏虫は氷を知らず
- 管を以て天を窺う
対義語
- 酸いも甘いも噛み分ける
対比・対照ことわざ
- 井の中の蛙大海を知らず
- 夏虫は氷を知らず