無事是貴人
読み方
ぶじ これ きにん
意味
余計な作為や執着、迷いに振り回されず、ありのままに落ち着いている人こそ真に尊い人だ、という禅語。「無事」は単に事件がない意味ではなく、心が分別や欲望にかき乱されていない境地をいう。
由来
中国・唐代の禅僧、臨済義玄(りんざい ぎげん、?~866年)の語とされる。禅語録『臨済録』に「無事是貴人、但莫造作(無事これ貴人、ただ造作することなかれ)」とあり、9世紀ごろに説かれた教えに由来する。日本には禅宗の伝来とともに広まり、禅語として定着した。
分類・由来
備考
禅宗で重んじられる語。日常では「平穏無事な人が尊い」という意味にも受け取られるが、本来は作為・執着を離れた心の自在さを説く。
例文
- 予定を詰め込みすぎず、目の前の仕事に静かに向き合う。無事是貴人という姿勢を大切にしたい。
- 周囲の評価ばかりを気にして疲れている後輩に、師は「無事是貴人だよ」と、余計な執着を手放すよう諭した。
- 茶室の掛け軸にある「無事是貴人」を見て、何事もない日常の尊さをあらためて感じた。
類義語
対義語
- 多事多難
- 汲々として休む暇がない