万人の万人に対する闘争
読み方:ばんにん の ばんにん に たいする とうそう
意味
すべての人が自分の生存や利益を守るために、他のすべての人と対立・競争し、争い合う状態をいう。特に、共通の権力や規則がなく、人々を抑える仕組みのない社会状態を表す。秩序を保つ国家や法の必要性を論じる際に用いられる。
由来
17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズの自然状態論に由来する。ラテン語著作『市民論(De Cive)』(1642年)には「bellum omnium contra omnes(すべての者の、すべての者に対する戦い)」という定式が見られ、英語で刊行された『リヴァイアサン』(1651年)では「warre of every man against every man(各人の各人に対する戦争)」と表現された。これらに基づく訳語として、日本語では「万人の万人に対する闘争」が定着した。
備考
日常的なたとえとしても使われるが、本来はホッブズの政治哲学における「自然状態」を指す学術的表現である。実際の歴史社会が常にこの状態だったという意味ではない。
例文
- 法も公的な権力も機能しない社会は、ホッブズのいう「万人の万人に対する闘争」に陥りかねない。
- 資源が極端に不足すれば、人々の関係は万人の万人に対する闘争のような様相を帯びるだろう。
- 彼は国家の役割を、万人の万人に対する闘争を防ぎ、市民の安全を確保することだと説明した。
分類
類義語
- 自然状態
- 弱肉強食
- ベルム・オムニウム・コントラ・オムネス