衣錦尚絅
読み方:いきん しょうけい
意味
錦のような美しい衣服の上に、あえて質素なひとえの上着を重ねて、その華やかさを隠す意。転じて、自分の才能・地位・功績などをむやみに誇示せず、謙虚に身を処すことをいう。
由来
中国古典の『礼記』の「中庸」にある「衣錦尚絅、悪其文之著也」に基づく。「衣」は着る、「錦」はにしき、「尚」はさらに加える、「絅」はひとえの上着をいう。錦を隠すように上着を重ねる姿から、徳や才能を外見的にひけらかさない君子の態度を表す。「中庸」は前漢期(紀元前1世紀ごろまで)に編纂された『礼記』に収められ、句自体はさらに古い『詩経』の表現を踏まえる。
備考
現代では日常会話より、文章語・教養語として用いる。単に質素な服装をする意味ではなく、才能や地位をひけらかさない態度を指す。「衣錦褧衣」は『詩経』に見える関連する別の成句である。
補足
- 「絅」を「絹」と書くのは誤り。
- 「衣錦褧衣」は『詩経』に由来する関連成句であり、「衣錦尚絅」の単純な表記違いではない。
例文
- 彼は輝かしい受賞歴を自ら語らず、衣錦尚絅の姿勢で後進を支えている。
- 組織の長には、成果を誇示するよりも衣錦尚絅の心構えが求められる。
- 華々しい経歴を持ちながら質素に暮らす彼女を、同僚は衣錦尚絅の人だと評した。