絶仁棄義
読み方:ぜつじん きぎ
意味
仁や義といった人為的・形式的な道徳規範を捨てれば、かえって人々は本来の孝行や慈愛の心を取り戻す、という道家の考え方。老子では、外から道徳を押しつけることへの批判を表す。
由来
中国古典『老子』第十九章にある「絶聖棄智、民利百倍。絶仁棄義、民復孝慈」に基づく。『老子』は戦国時代(おおむね紀元前4~3世紀ごろ)に成立したとされる道家思想の書である。ここでの「絶」は断つ、「棄」は捨てるの意。
備考
日常会話で使われることは少なく、主に中国思想・漢文学の文脈で用いられる。仁義そのものへの無条件の敵意ではなく、作為的で形骸化した道徳への批判として理解する。
誤用・混同注意
- 「仁義を完全に否定し、無道徳を勧める語」と解するのは誤解である。
- 「絶人棄義」と書くのは誤り。「仁」は儒教でいう仁愛の意。
- 「絶仁棄儀」と書くのは誤り。「義」は正しい道理・道徳の意。
例文
- 『老子』の絶仁棄義という言葉は、形式化した道徳を批判する道家思想を示している。
- 彼は絶仁棄義の思想に触れ、制度としての善行と自然な思いやりは別だと考えるようになった。
- 絶仁棄義を、単純に「仁義を否定せよ」という意味だと解するのは適切ではない。
分類
類義語
対義語
- 仁義礼智
- 仁義を重んじる