空仮中道
読み方:くう け ちゅうどう
意味
天台宗で説く三諦の考え方。すべての物事には、固定した実体がないという「空」、因縁によって仮に現れているという「仮」、その両方に偏らない真実のあり方である「中道」の三面が同時に備わる、という教えをいう。
由来
中国・隋代の天台大師智顗(538〜597)が体系化した天台教学の「三諦」思想に基づく語である。『摩訶止観』(594年ごろ成立)などで、空・仮・中の三つの真理を円融的に捉える教えが説かれ、日本では最澄以後の天台宗教学でも重視された。
備考
一般の日常会話で用いる語ではなく、主に天台宗・仏教学の専門用語である。「空・仮・中の三諦」と説明されることが多い。「仮」は「か」ではなく、この語では通常「け」と読む。
別表記
- 空假中道
誤用・混同注意
- 「仮」を「か」と読んで「くうかちゅうどう」とするのは誤りで、通常は「くうけちゅうどう」と読む。
- 「空仮中道」と「空・仮・中の三諦」は密接に関係するが、前者は三つの真理が中道として円融することを強調する表現である。
例文
- 天台教学では、現象を空仮中道の立場から理解しようとする。
- 空仮中道は、物事を空だけ、あるいは実在だけとみなす偏った見方を戒める教えである。
- 講義では、空仮中道と一心三観との関係が詳しく解説された。