直躬証父
読み方:ちょっきゅう しょうふ
意味
父の罪を正直に役人へ告発すること。転じて、正義や規則をあまりに厳格に守ろうとして、親子の情や人情を顧みない行為をいう。単に正直さを褒める語ではなく、行き過ぎた正直さ・融通のなさを批判的にいう場合が多い。
由来
中国・戦国時代末期(紀元前3世紀ごろ)の思想家・韓非の著作とされる「韓非子」五蠹篇の故事による。楚に直躬という人物がおり、父が羊を盗んだことを役人に訴え出た。これに対し令尹は、君主には正直でも父に対しては道を欠くとして直躬を処罰したという。この「直躬が父を証言した」故事から生まれた。
備考
今日の日常会話で用いられることは多くなく、文章語・教養語的な表現である。親族の不正を告発する行為一般を非難する語ではなく、事情や人情を無視した過度な厳格さをいう。
別表記
- 直躬證父
補足
- 単に「正義のために親を告発する立派な行為」として肯定的にのみ解するのは不正確で、人情を欠くほどの過度な正直さを批判する含みがある。
- 「直窮証父」は誤記であり、「躬」を用いる。
例文
- 規則を絶対視し、家族の小さな過ちまで公にした彼の態度は、直躬証父だと批判された。
- 身内の不正を告発すべきかを論じる際、正義と親子の情の葛藤を示す故事として直躬証父が引かれる。
- 法令を守ることは重要だが、事情を一切考慮しない直躬証父のような判断にならないよう注意したい。
分類
類義語
対義語
- 父子相隠
- 親子相愛