生死苦海
読み方:しょうじ くかい
意味
仏教語。衆生が迷いのために生と死を繰り返し、その間にさまざまな苦しみを受ける世界を、渡り切ることの難しい苦しみの海にたとえた語。単に人生における苦難の多さを表す比喩としても用いられる。
由来
仏教の「生死輪廻」と「苦」の思想に基づく語である。「生死」は迷いの中で生まれ死ぬことを繰り返すこと、「苦海」は苦しみに満ちた世界を海にたとえた表現をいう。漢訳仏典の時代はおおむね2~5世紀に及ぶが、「生死苦海」という四字の確定的な初出文献・年代は特定しにくい。日本では仏教説話や浄土教系の文章などで用いられてきた。
備考
主に仏教・宗教的文脈で用いる硬い語。「苦しい人生」という日常的な意味でも比喩的に使えるが、本来は輪廻する迷いの世界を指す。「生死」はこの語では一般に「しょうじ」と読む。
誤用・混同注意
- 「生死」を一般語と同じく「せいし」と読んで「せいしくかい」とするのは不適切。本来の仏教語としては「しょうじくかい」と読む。
- 「生死苦界」と書く誤り。「苦海」が正しい。
- 単に死ぬか生きるかの苦境を指す語だと解するのは不十分で、本来は生死輪廻する迷いの世界をいう。
例文
- 仏教では、煩悩を断って生死苦海から解脱することを目指す。
- 作者は、戦乱に苦しむ人々の世を生死苦海になぞらえた。
- 私欲にとらわれる限り、生死苦海を渡り切ることはできないと説かれている。