犬吠緇衣
読み方:けんばい しい
意味
見識や理解の乏しい者が、自分の知らない事物や自分と異なる人を怪しみ、理由も分からずに非難・嘲笑すること。犬が黒い衣を着た人を見慣れないために吠える、というたとえ。
由来
中国・前漢の劉安が編纂させた『淮南子』の「説山訓」にある「犬吠緇衣、怪其異己也(犬は黒衣を怪しみ、自分と異なるために吠える)」に基づく。『淮南子』は紀元前2世紀、一般に前139年頃に成立・献上されたとされる。
備考
「緇衣」は黒い衣服の意。現代の日常会話ではほとんど用いられず、文章語・教訓的な表現として使われる。未知のものをただ排斥する態度を戒める語である。
誤用・混同注意
- 「緇衣」を「紫衣」と書くのは誤り。「緇」は黒色を表す字である。
- 単に犬が黒い服へ吠えるという字義だけでなく、無知や偏見から異質なものを非難する比喩として用いる。
例文
- 新しい研究手法を理解しようともせず嘲るのは、まさに犬吠緇衣というべき態度だ。
- 提案の内容を確かめず、前例がないというだけで退ける議論には、犬吠緇衣の姿勢が見える。
- 異文化の習慣を奇異だと決めつけず、犬吠緇衣にならないよう、その背景を学ぶことが大切だ。
分類
類義語
対義語
- 明察秋毫
- 是非分明