犬兎倶斃
読み方:けんと ぐへい
意味
犬と兎が追いかけ合ってともに疲れ果て、倒れてしまうこと。転じて、二者が激しく争って双方が消耗・共倒れになり、そのすきに争いに加わっていない第三者が利益を得ることをいう。
由来
中国の戦国時代(前5~前3世紀)を背景とする『戦国策』斉策三の故事に基づく。同書は前漢の劉向により前1世紀ごろに編纂された。名犬の韓子盧が俊敏な兎の東郭逡を追い続け、犬も兎も疲れ果てて死んだところを農夫が苦もなく手に入れたという話の「犬兔俱罷、各死其處」に由来する。日本では「罷」に代えて「斃」を用い、「犬兎倶斃」として定着した。
備考
日常会話ではあまり用いない文章語・評論語である。単なる双方の敗北ではなく、争いの外にいる第三者が利益を得るという含意を伴って使われることが多い。
誤用・混同注意
- 「犬兎倶弊」と書くのは誤り。正しくは、倒れる・死ぬ意の「斃」を用いて「犬兎倶斃」とする。
- 単に「双方が負ける」意味だけで用いるのは不十分で、通常は両者の消耗に乗じて第三者が利益を得る含意がある。
例文
- 両社が際限なく値下げ競争を続ければ犬兎倶斃となり、海外企業だけが利益を得るだろう。
- 二つの派閥の対立は犬兎倶斃に終わり、第三の候補が議長に選ばれた。
- 当事国どうしの消耗戦は、周辺国に漁夫の利を与える犬兎倶斃の状況である。
分類
類義語
- 漁夫の利
- 鷸蚌の争い
- 両敗倶傷