検索

無余涅槃

読み方:むよ ねはん

意味

仏教で、悟りを得た人が死後に入る、身体や煩悩の残りがまったくない究極の涅槃をいう。生前に悟りを得ても肉体が残っている状態である「有余涅槃」に対し、死によって五蘊(心身を構成する要素)も尽き、輪廻から完全に解脱した状態を指す。

由来

古代インド仏教の涅槃思想に由来する語で、本来は「無余依涅槃(むよえねはん)」または「無余依涅槃界」といった。悟りを得た者が肉体の死後、煩悩・苦・生存を支える要素を余すことなく滅した境地を、有余依涅槃と対にして説く。二種の涅槃という教説は初期仏教経典に見られ、中国語訳仏典を通じて日本へ伝来した。漢訳仏典の成立・伝訳はおおむね5世紀頃以降である。

備考

日常会話で用いる語ではなく、仏教思想・仏教学の文脈で使われる専門語である。「無余」は「何も残らない」の意。単純な虚無や消滅を意味する語として理解しないよう注意が必要である。

別表記

  • 無餘涅槃

誤用・混同注意

  • 「無余涅盤」と書くことがあるが、現代日本語の標準的な表記は「無余涅槃」である。
  • 「無余涅槃」は「無余依涅槃」を略した形として用いられるため、「無用涅槃」などと取り違えない。
  • 生前に悟った状態を指す「有余涅槃」と混同しない。

例文

  • 釈尊は入滅によって、無余涅槃に入ったと説明される。
  • 有余涅槃と無余涅槃の違いを理解するには、仏教における五蘊の考え方を知る必要がある。
  • この経典では、輪廻を完全に超えた境地として無余涅槃が説かれている。

分類

類義語

対義語

この四字熟語に使われている漢字