暮夜無知
読み方
ぼや むち
意味
夜中のことで他人には知られない、という意味。特に、賄賂などの不正を「人目がないから発覚しない」と考えてひそかに行おうとすることをいう。故事では、このような考えを退け、悪事は隠しても天・神・当事者には知られているという戒めを表す。
由来
中国の歴史書『後漢書』楊震伝に基づく。後漢時代(1~2世紀、具体的な年は不明)、楊震に登用された王密が、後に夜間ひそかに黄金を贈ろうとし、「暮夜無知(夜なので知る者はいない)」と言った。楊震は「天知・神知・我知・子知、何謂無知」と答えて受け取らなかった。この故事は5世紀ごろに范曄が編んだ『後漢書』に収められている。
分類・構成
備考
楊震の「天知・神知・我知・子知」という返答にちなみ、清廉さや自戒を説く文脈で用いられる。現代の日常会話ではまれで、文章語・故事成語としての使用が中心である。
誤用・混同注意
- 「暮夜無智」は誤りで、正しくは「暮夜無知」。
- 「無知」を単に「知識がないこと」と解するのは不適切。ここでは「知る者がいない」という意味である。
例文
- 「暮夜無知だから」と賄賂を渡そうとする発想そのものが、楊震の故事が戒めるところである。
- 監査の目が届かないからといって、暮夜無知の取引に手を染めれば、組織全体の信頼を損なう。
- 彼は暮夜無知を口実にせず、私的な贈答についても記録を残して透明性を確保した。
類義語
- 暗室欺心
- 隠密行為
- 秘密裏