捨身飼虎
読み方:しゃしん しこ
意味
自分の身を犠牲にしてでも他者を救おうとする、深い慈悲と自己犠牲の行為をいう。もとは飢えた虎を救うために自らの身体を与えた菩薩の説話に基づく。現代では、他人や大義のために危険を顧みず尽くすことを、強く称賛する表現として用いる。
由来
仏典「金光明経」の「捨身品」に見える説話に由来する。釈迦が前世で摩訶薩埵(まかさった)という王子だったとき、飢えて子を食べようとする雌虎を見つけ、自らの身を投げ出してその餌となったという話である。「金光明経」はインドで成立した経典を基にし、中国では5世紀前半(およそ412~421年)に曇無讖が漢訳したものが知られる。
備考
日常会話ではあまり頻繁に使わず、仏教・倫理・文学的な文脈で用いられることが多い。単なる無謀な自己犠牲ではなく、慈悲に基づく献身を表す語である。
誤用・混同注意
- 「飼虎」を「養虎」と書くのは誤り。
- 単に危険な行為をする意味ではなく、他者を救うために自らを犠牲にする慈悲の行為を表す。
例文
- 彼は危険な現場へためらわず入って人命を救い、その行為は捨身飼虎ともいうべき献身だった。
- この説話は、捨身飼虎の精神を通して、仏教における慈悲の深さを伝えている。
- 部下を守るために責任を一身に引き受けた上司を、皆が捨身飼虎の人だと敬った。
分類
類義語
- 自己犠牲
- 捨身成仁
- 捨身求法
対義語
- 自己保身
- 利己主義