愛礼存羊
読み方:あいれい そんよう
意味
古い儀礼・制度が実質的な意義を失っていても、その形式や伝統を重んじて残しておくこと。転じて、実用性の乏しい旧来の慣習を、形式を尊ぶあまり維持することをいう。必ずしも全面的な肯定ではなく、形式だけを守る態度を批判的にいう場合もある。
由来
中国の古典「論語」八佾篇に基づく。春秋時代(紀元前5世紀ごろ)の孔子と弟子・子貢の会話で、子貢が月初めの祭礼「告朔」に供える羊を廃止しようとした際、孔子は「賜や、爾は其の羊を愛す、我は其の礼を愛す(お前は羊を惜しむが、私は礼を惜しむ)」と答えた。この故事を「礼を愛し、羊を存す」と要約した語である。
備考
本来は孔子が礼の継承を重視した故事である。「無意味な形式を守る」という批判的な意味で用いられることもあるが、伝統や儀礼の価値を考える文脈にも用いる。羊を愛護する意味ではない。
誤用・混同注意
- 「存羊」を「尊羊」と書くのは誤り。
- 羊そのものを慈しんだり保護したりする意味だと解するのは誤り。
例文
- 予算削減の対象となった式典だが、地域の歴史を伝える機会でもあるため、単なる愛礼存羊として片づけずに意義を検討した。
- 意味を理解しないまま前例どおりの手続きを続けるのは、愛礼存羊に陥っているのかもしれない。
- 古い祭りを継承することには価値があるが、愛礼存羊にならないよう、現代に合う形へ見直す必要もある。
分類
類義語
- 因循姑息
- 旧習墨守
- 形式主義