忠恕之道
読み方:ちゅうじょ の みち
意味
「忠」は自分の心に誠実であること、「恕」は自分の心を基準にして他人の立場や気持ちを思いやることをいう。自分に誠実であり、他者にも思いやりをもって接するという、儒教における人として守るべき基本的な道を指す。
由来
中国の儒教思想に由来する。『論語』里仁篇には、孔子の教えについて曾子が「夫子之道、忠恕而已矣(先生の道は、忠と恕に尽きる)」と述べる箇所がある。「忠恕之道」はこの思想を表す呼称である。孔子は紀元前551~前479年の人物で、『論語』はおおむね紀元前5~3世紀ごろに編纂されたとされる。
備考
「之」は古典中国語の助字で、日本語では「の」と読む。忠恕之道は、単なる忠義や寛容ではなく、自己への誠実さと他者への思いやりを併せた儒教の倫理である。
別表記
- 忠恕の道
補足
- 「之」はこの語では「これ」ではなく「の」と読む。
- 「忠」を主君への忠誠だけ、「恕」を単なる許しだけと解するのは不正確である。
例文
- 人を導く立場にある者ほど、忠恕之道を忘れず、相手の事情を理解しようと努めるべきだ。
- 彼は利益だけを追うのではなく、忠恕之道にかなう判断を大切にしている。
- 意見が対立したときこそ、忠恕之道の精神で、相手の立場に身を置いて考えたい。
分類
類義語
- 仁愛
- 推己及人
- 己所不欲、勿施於人
対義語
- 利己主義
- 自己中心
- 薄情寡恩