忘己利他
読み方:ぼうこ りた
意味
自分の利益や都合を忘れ、他人や社会のために尽くすこと。「己を忘れて他を利する」の意で、特に仏教では慈悲の実践として重視される。単なる自己犠牲ではなく、他者の幸福や利益を願って行動する姿勢をいう。
由来
天台宗の開祖・最澄(伝教大師)が弘仁9年(818年)に著したとされる「山家学生式」の「忘己利他、慈悲之極也(己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり)」に基づく仏教語。後に、他者や社会に献身する精神を表す語として広く用いられるようになった。
備考
仏教、とりわけ最澄の思想を象徴する語として知られる。現代では福祉・医療・教育・企業の社会貢献などの文脈でも用いられるが、他者への奉仕を強いる意味で安易に使わない配慮も必要である。
補足
- 「忘我利他」は中国語圏で用いられる表現であり、日本語の四字熟語としては通常「忘己利他」を用いる。
- 「己」を「已」と書くのは誤り。
例文
- 医療に携わる者には、忘己利他の精神が求められる。
- 彼女は忘己利他を信条とし、長年にわたって地域の福祉活動を支えてきた。
- 最澄の説いた忘己利他の理念は、現代のボランティア活動にも通じる。
分類
類義語
対義語
- 利己主義
- 自己中心
- 我利我利