幕燕鼎魚
読み方
ばくえん ていぎょ
意味
幕(陣営の垂れ幕)に巣を作る燕と、煮え立つ鼎(かなえ)の中で泳ぐ魚のように、滅亡・破滅などの差し迫った危険があるのに、それに気づかず安泰だと思い込んでいること。また、そのような危うい境遇をいう。
由来
中国・南朝梁の文人、丘遅(464~508)の書簡「与陳伯之書」にある「魚游於沸鼎之中、燕巣於飛幕之上(魚は煮えたぎる鼎の中を泳ぎ、燕は風にはためく幕に巣を作る)」に基づく。梁の天監年間、6世紀初頭(およそ505年頃)の文章で、危険を自覚しない者を戒めた表現である。
分類・構成
備考
文章語・漢文調の強い表現で、日常会話ではあまり用いない。単に「危険な状態」をいうだけでなく、当事者が危険の切迫を自覚していない点に重点がある。幕は垂れ幕、鼎は三本足のかなえを指す。
誤用・混同注意
- 「幕燕釜魚」と書くのは誤りで、正しくは「幕燕鼎魚」。
- 単に危険な状況を指す語と理解するのは不十分で、危険が迫っていることに気づかないという含意がある。
例文
- 事業の資金繰りはすでに限界なのに、経営陣は幕燕鼎魚のごとく危機感を持っていない。
- 敵軍に包囲されていることを知らず宴を続ける城内の人々は、まさに幕燕鼎魚であった。
- 情報漏洩の兆候を軽視する会社は、幕燕鼎魚の状態に陥りかねない。
類義語
- 魚遊釜中
- 累卵之危
- 風前之灯