大円鏡智
読み方:だいえんきょう ち
意味
仏がもつ、曇りのない大きな円鏡があらゆるものをありのままに映すように、すべての事物や真理を偏見・迷いなく明らかに知る完全な智慧。唯識思想では、迷いの根本である阿頼耶識を転じて得られる智と説く。
由来
インド大乗仏教の唯識思想に由来する語。唐代7世紀半ば、玄奘訳の仏典・論書である『仏地経論』などに「大圓鏡智」として説かれた。阿頼耶識が清らかな智慧へ転じるという教説を基盤とし、日本へは仏教の伝来・受容とともに伝わった。
備考
本来は唯識・密教における専門的な仏教語である。法相では四智の一、密教では五智の一として位置づけられる。日常語としてはほとんど用いられない。
別表記
- 大圓鏡智
誤用・混同注意
- 「大円鏡知」と書くのは誤りで、仏教用語では「大円鏡智」と書く。
- 単なる記憶力や観察力の意味ではなく、悟りに伴う仏の智慧を指す。
例文
- 修行者は、煩悩に覆われた心を転じて大円鏡智を得ることを目指す。
- 法相宗では、阿頼耶識が転じて大円鏡智になると説かれている。
- 師は、偏見を捨てて事実をありのままに受け止める姿勢を、大円鏡智になぞらえて語った。
分類
対義語
- 無明