咫尺千里
読み方:しせき せんり
意味
咫尺ほどのごく近い距離にありながら、千里も隔たっているように感じられること。特に、物理的には近くても心が通わず、心理的には遠い関係をいう。また本来は、絵画の狭い画面に、千里の彼方まで続くような広大な景色を表すことも意味した。
由来
出典は『南史』蕭賁伝。南朝梁(6世紀)の画家・蕭賁が、扇のような小さな画面に山水を描き、「咫尺(ごくわずかな距離)の内にあっても、万里の彼方のように感じられる」景観を表したという故事に基づく。『南史』自体は唐代の659年ごろに成立した。
備考
本来は絵画表現を評した語だが、現代では「近くにいても心の距離が遠い」という人間関係の比喩として用いられることが多い。日常会話より文章語・表現語向き。
補足
- 「ししゃくせんり」と読まない。正しくは「しせきせんり」。
- 「咫尺天涯」と混同しない。意味が近い別の成語である。
例文
- 同じ部署で毎日顔を合わせているのに、二人の関係は咫尺千里というほかない。
- オンライン会議ではすぐにつながれるが、相手の本心が分からず、咫尺千里を感じることもある。
- この山水画は小さな掛け軸の中に奥深い景色が広がり、まさに咫尺千里の趣がある。