俎上魚肉
読み方:そじょう の ぎょにく
意味
相手の力に圧倒され、自分では抵抗や逃避ができず、相手の思うままに処置・支配される状態のたとえ。まな板の上に載せられ、料理されるのを待つ魚や肉のように、運命を他人に委ねるほかない危険で無力な立場をいう。
由来
中国の歴史書『史記』「項羽本紀」に由来する。秦末・楚漢戦争期(紀元前206年ごろ)の鴻門の会で、劉邦側の樊噲が「今、人は刀俎(包丁とまな板)となり、我らは魚肉である。どうして辞退できようか」と述べた故事に基づく。『史記』は前漢の司馬遷が紀元前1世紀ごろに編纂した。この「刀俎」と「魚肉」の対比から、日本で「俎上魚肉(俎上の魚肉)」という形で、なすがままにされる境遇を表すようになった。
備考
「俎」はまな板・供物を載せる台の意。通常は「俎上の魚肉」と助詞を入れてもいう。会話より文章語・硬い表現であり、「俎上に載せる(議題にする)」の「俎上」とは用法・意味が異なる。
誤用・混同注意
- 「俎上」を単に「議論の対象」という意味で解し、「俎上魚肉」を「議題に上った魚肉」の意とするのは誤り。ここでは、まな板の上で処分を待つ魚肉の比喩である。
- 「俎」は「そ」と読み、「そ上魚肉」などと表記しない。
例文
- 交渉が決裂し支援も失った小国は、大国の要求に対して俎上魚肉の立場に置かれた。
- 決定的な証拠を握られた彼は、相手の条件を受け入れるしかなく、まさに俎上魚肉の身だった。
- 逃げ道を断たれた企業は、買収側の提示する条件をのむほかなく、俎上魚肉となった。
分類
類義語
- まな板の鯉
- 籠中の鳥
- 風前の灯火
- 俎上の魚
対義語
- 自由自在
- 主導権を握る
- 安全無事