以直報怨
読み方
いちょく ほうえん
意味
自分に恨みや害を加えた相手に対して、私情で仕返ししたり、むやみに恩恵を与えたりせず、正しく公平な道理・基準に従って対応すること。「直」は正直・公正の意である。
由来
中国の古典『論語』憲問篇にある孔子の言葉に基づく。弟子が「徳をもって怨みに報いるのはいかがですか」と尋ねた際、孔子は「何をもって徳に報いるのか。直をもって怨みに報い、徳をもって徳に報いよ」と答えた。孔子の活動した時代は春秋時代(紀元前6~5世紀)で、『論語』はおおむね紀元前5~3世紀頃に編纂されたとされる。
分類・構成
備考
「直」は単なる率直さではなく、公正で道理にかなった態度を指す。恨みに仕返しをする意味ではない。また、無条件に許す「以徳報怨」とも異なり、原文では「以徳報徳」と対にされる。
誤用・混同注意
- 「以徳報怨」と混同しない。「以直報怨」は、怨みに対して公正・正道をもって応じる意である。
- 「報怨」を『恨みを晴らす』『復讐する』という意味だけに解さない。ここでは怨みに対処することをいう。
- 読みを「いちょくほうおん」としない。正しくは「いちょくほうえん」。
例文
- 不当な批判を受けても感情的に反撃せず、事実と規則に照らして以直報怨の姿勢で対応した。
- 上司は過去の対立を理由に部下を冷遇せず、以直報怨、功績は功績として公平に評価した。
- 以直報怨とは、相手の不正を無条件に許すことではなく、公正な基準で適切に処することだ。
類義語
- 恩怨分明
- 賞罰厳明
- 公平無私
対義語
- 以怨報怨
- 以徳報怨
- 私怨報復