人琴倶亡
読み方:じんきん ともに ぼうず
意味
親しい人を失い、その人が愛用していた琴などの品に触れて、まるで人も品もともに失われたかのような深い悲しみを抱くこと。転じて、かけがえのない人と大切なものを同時に失う悲哀をいう。
由来
中国・南朝宋の5世紀ごろ(およそ430年ごろ)に劉義慶らが編んだ『世説新語』に見える故事による。王徽之(子猷)は、弟の王献之(子敬)の死後、弟の琴を弾こうとしたが調子が合わず、「子敬よ子敬よ、人も琴もともに亡くなった」と嘆いた。ここから、大切な人を失った深い悲しみを表すようになった。
備考
死別に伴う非常に深い悲哀を表す、文章語的で格調高い表現。琴が実際に失われる場合に限らず、故人の愛用品や思い出の場所などに触れて悲しむ場面にも用いる。
別表記
- 人琴俱亡
補足
- 「人琴共亡」と書くのは誤り。正しくは「人琴倶亡」。
- 「亡」を「忘」と書くのは誤り。
例文
- 恩師の遺品である万年筆を手に取ると、まさに人琴倶亡の思いにかられた。
- 長年連れ添った友を失い、彼が奏でていた琴の音も聞けなくなった彼女は、人琴倶亡の悲しみを味わった。
- 彼の死後、思い出の店まで閉店してしまい、遺族にとっては人琴倶亡ともいうべき喪失だった。