不立文字
読み方:ふりゅう もんじ
意味
禅宗において、悟りや仏法の本質は経典・文字・言葉による説明だけでは伝えられず、師から弟子へ心を通して直接体得されるものだとする考え。文字や知識を全面的に否定するのではなく、それらに執着して真理を見失わないようにする立場をいう。
由来
中国禅で形成された禅語。「教外別伝・不立文字・直指人心・見性成仏」という四句の一部で、達磨(5~6世紀ごろ)の禅の宗旨を表す語として伝えられる。ただし、この四句が現在のような定型として広まったのは後世の中国禅で、宋代(10~12世紀ごろ)の禅籍にも見られる。
備考
禅宗の重要な標語である。「文字を立てない」は文字・学問そのものの否定ではない。経典の語句や理屈への執着を離れ、自己の体験によって悟りを得ることを重視する。
補足
- 「ふりつもじ」などと読まない。標準的な読みは「ふりゅうもんじ」。
- 「文字や経典を一切否定する教え」と解するのは不正確であり、文字への執着を戒める趣旨である。
例文
- 禅の師は、不立文字の立場から、長い講義よりも弟子自身の体験を重んじた。
- 不立文字とは、経典をまったく読まなくてよいという意味ではなく、文字だけにとらわれないという教えである。
- 彼の指導には、言葉で答えを与えるより本人に気づかせようとする、不立文字の精神が感じられた。
分類
類義語
対義語
- 依文解義
- 文字主義