下車泣罪
読み方:かしゃ きゅうざい
意味
為政者が、民衆が罪を犯すのは自分の政治や徳が十分でないためだと考え、自らを責めて悲しむこと。転じて、指導者が部下や国民の過ち・問題を他人事にせず、自身の責任として反省する姿勢をいう。
由来
中国古典の「淮南子」主術訓に見える故事に基づく。夏王朝の祖とされる禹が、罪人を見かけて車から降り、罪を犯す民がいるのは君主である自分の徳や政治が及ばないためだとして涙を流したという。「淮南子」は前漢の淮南王・劉安らが紀元前2世紀(紀元前139年頃)に編んだ書物である。
備考
現代の日常会話ではまれで、政治・行政論、倫理、文章語で用いられる。「下車」は列車を降りる意味ではなく、車から降りること。「罪人が泣く」という意味ではない。
誤用・混同注意
- 読みを「げしゃきゅうざい」とする誤り。本四字熟語の慣用読みは「かしゃきゅうざい」。
- 「罪人が車を降りて泣くこと」と解する誤り。車を降りて泣いたのは、罪を民の責任だけにしなかった為政者の禹である。
例文
- 市長は不祥事を部下だけの責任とせず、下車泣罪の姿勢で監督責任を認めた。
- 禹の下車泣罪の故事は、統治者が民の罪を自らの政治の問題として受け止めるべきだという教えである。
- 犯罪を厳しく罰するだけでなく、下車泣罪の精神で、その背景にある貧困や制度上の欠陥を検討する必要がある。
分類
類義語
- 罪己責躬
- 引咎自責
- 反躬自省